第43回 365cafe 作品展
「空と海と椅子と」
島田勝巳作品展
開催日:2026.5.2(土)~6.1(月)

島田勝巳 写真家

写真家。1963 茨城県生まれ。1983年東京写真専門学校 卒業。「Heineken」広告に魅せられてフォトグラファーを目指す。スチールの撮影プロダクション数社を経て、1995年に有限会社スチールハウス設立。酒類/住宅/インテリア/food/など幅広い分野で広告写真の撮影を行う。

【主な賞歴】
2003年 日経BP広告賞 日経エコロジー広告賞
2005年 讀賣広告大賞 入賞
2007年 神奈川新聞広告賞 最優秀広告賞

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【見どころ】
海と空をバックに置かれた椅子。静謐な時間の中、その椅子はただそこにそっと置かれているだけのようにも、またそれまでそこに誰かが座って海を見ていたようにも思えます。今回ご登場いただくのは、広告写真家の島田勝巳さん。海と椅子をテーマにかれこれ20年近く撮影しているという島田さんに、ご自身にとって椅子とはなにか、なぜ写真家になったのかなど、ざっくばらんに伺いました。

インタビュアー 株式会社サンポスト 前田 敏之)

■「Heineken」のポスターに魅せられて

――写真に興味を持たれたのはいつでしょうか。
〈島田〉カメラを手にして写真を撮り始めたのは中学時代です。父が写真館を営んでいた影響もあると思います。
――最初に使ったカメラはなんですか。
〈島田〉キヤノンのFTbでした。レンズは50㎜f1.4です。それ以来、長年キヤノンを愛用しています。
――その頃はどんな写真を撮っていたのでしょう。
〈島田〉もっぱら風景写真です。
――カメラの操作方法はお父様から習ったのですか。
〈島田〉レンズの選択、絞り、シャッタースピードなど初歩的なことは自然の中で風景写真を撮りながら学びました。父からはカメラ操作というより、暗室でプリントの仕方などを習いました。暗室には小学3年か4年の頃から一緒に入っていたので、見聞きしながら覚えた感じです。
――東京写真専門学校に進学され、卒業後はお父様の写真館を継ぐことは考えなかったのでしょうか。
〈島田〉勿論そのつもりで写真の道を歩んでいました。初めは婚礼写真を中心にポートレートの撮影をする仕事に就きました。まさしく写真館を継ぐための第一歩でした。ですが 当時まだ父も現役だったので、まだ写真館を継ぐために実家に戻るのは早いかな? それと撮影の幅も広げていきたかったのです。せっかく学生時代4×5のカメラで商品撮影など広告写真について多少学んできた面もあり、だったら広告写真やって見よう!と。そんな折、当時の「Heineken」のポスターに魅せられて広告写真を目指す事となりました。そして広告写真に専念する事となり写真館は継がず 現在に至ります。
――「Heineken」のポスターというのは、どんな感じのポスターだったのでしょう。言葉で言い表すのは難しいかもしれませんが……。
〈島田〉缶をトリッキーな感じに積み上げたりしていて 当時、自分の中では 斬新なイメージでした。
――学生時代の思い出で、なにか印象的なエピソードはありますか。
〈島田〉卒業制作ですかね。近くに 霞ヶ浦があって 当時は湖畔を単線の気動車が走っていたので、霞ヶ浦と気動車的なテーマ(組写真)で撮影していました。気動車の通過する時間や夕日の沈む位置や天候等を、撮影ポイント毎に細かくチェックしていたのですが、 中々うまくいかず、何度もチャレンジした想いがあります。この状況は今回の撮影でも同じような事がありました。そうは言っても自然相手なので、それ自体が醍醐味かと思います。
――最初にキヤノンFTbを使われてからキヤノンのカメラを愛用しているとのことですが、いまはどんなカメラを主に使っていますか。
〈島田〉広告の場合、メインはキヤノンです。近年動画も一緒に撮る場合もあるので、ソニーのミラーレス機も使用しています。それとpheseoneP65。これは繊細なディティールの再現や、近年はあまりありませんが、写真の扱いが大きい場合とかに利用します。自分のライフワークの撮影でも活躍。今回展示した作品もpheseoneP65と機動力を生かしてソニーα7cⅡを使いました。

■椅子は人生を共にしている相棒

――今回の作品展のテーマ「海と空と椅子と/Still Point」の、風景の中に椅子を置いて撮影するという発想は、どのようにして生まれたのでしょうか。
〈島田〉20年程前に、たまたま学習塾で使っていた古い木製の椅子を頂く機会があり、この椅子でなにか出来ないかと思い、先ずは日の出の海に連れ出して撮影! その後、なにか思いを持ってその椅子の撮影を続けていこうということになり、地元茨城の眺めの良いところや、のんびり、ゆっくり、一寸ひと息付けるような場所を自分の特等席に見立てて、その場所に椅子を置いて撮るようになりました。
――椅子にまつわる思い出はありますか。
〈島田〉椅子にまつわると言う事ではないかも知れませんが ロケ撮影でローアングルになった時、座ってカメラを構える事が出来るようにお風呂の椅子を大人用と子供用の高さ違いで2つ持って行くのですが、毎回、周りの人達にイジられています(笑)。私にとって椅子はそこに座って安定した体制で少しでもストレスを減らし、集中してファインダーをのぞくための大事なアイテムです。さまざまなシーンで、何気なく人生を共にしている生涯の相棒なのです。
――話は変わりますが、本や映画などでお好きな作家はいらっしゃいますか。
〈島田〉特にいませんが、好きな映画はたくさんあります。なかでもリュック・ベッソンの映画「グランブルー」がよかった。
――私も好きな映画です。どんなところがよかったですか。
〈島田〉オープニングです。モノクロの回想シーンからカラーになるところ。あとFix撮影。他にも好きなシーンはたくさんありますが、やはりこのオープニングはインパクトがありました。
――Fix撮影というのは、三脚に載せたカメラで撮る固定撮影ですね。私はエンゾ(ジャン・レノ)が白の上下で決めて海岸でピアノを弾くシーンが好きでした。余談ですが、ロケ地であるイタリアのタオルミーナにも行きました。あの海の蒼さを見ていると、人生観が変わりますね。ところでリュック・ベッソンの映画で、他にお好きな映画はありますか
〈島田〉「レオン」ですかね。
――「レオン」も主役はジャン・レノ。カッコいいですね。映画といえば音楽が欠かせない要素ですが、音楽はよく聴かれますか。
〈島田〉あらゆるジャンルを幅広く聴いています。上げていくときりがないのですが、初めてのライヴコンサートはサンタナ、そしてクラプトン、ジェフベック、ミックジャガー、マイケルジャクソン、ハービーハンコック、ジョージデューク 等々。多くのミュージシャンを観て聴いて感銘受けてきました。
――スタジオで広告撮影をしているときも音楽はかけていますか。
〈島田〉1960年代〜2020年頃の2,500曲位をシャッフルで聴いています。ツェッペリンが流れればそのノリで、クルセイダーズが流れればこれもよし、ジャック・ジョンソンが流れれば これまたよし、と言う感じで聴いています。ドナルド・フェイゲンの「maxine」とか突然流れるとグットきます。
――お好きな音楽を聴きながらのスタジオ撮影、とても楽しそうだし、テンション上がるのがわかる気がします。

■映画の撮影をやってみたい!

――将来やってみたいことはなんでしょう。
〈島田〉写真を撮りながら車であちこち行ってみたいです。旅行は好きなのですが、時間を作るのが下手で、あまり行けていませんので。
――音楽を聴きながらのドライブも楽しそうです。
〈島田〉あと、映画の撮影をやりたいです!
――素敵です! それはやはり「グランブルー」のような雄大な自然と人間がテーマになっている映画でしょうか。
〈島田〉カメラは一眼ミラーレスでジンバルを多用。独自のアングルを模索しながら光と影や色を上手く交えて、映像美を追求するイメージです。テーマ的には 多様な映像美ですかね。
――ぜひ実現してください。今回、作品展をご覧になった方へメッセージをお願いします。
〈島田〉本展では、アンティークショップ「THE GLOBE」さんのご協力により、19世紀から続く伝統技術によって生まれた「ベントウットチェア」(曲げ木の椅子)」を被写体に据えました。夜明けの蒼に溶ける輪郭、夕日を背負う孤高の背。かつてヨーロッパの社交空間などを彩ってきた椅子たちが、日本の風景の中で静に呼吸する姿を切り取っています。 また同じく薄暮の空を背景にした花の写真が、展示空間に彩りと静寂を添えます。椅子と花。風景の中で再構成された美と、移ろう時間。そのシンプルな行為の中に宿る静寂を感じて頂ければ幸いです

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