くらちなつき 作品展
at dusk
2022.4.29[金]- 6.15[水]開催

【第9回】くらちなつき 作品展 at dusk

1993年愛知県生まれ。イラストレーター。
武蔵野美術大学油絵学科卒業。

マガジンハウスGINZAでの連載、VOGUE JAPAN,WWD JAPANの挿絵やアパレルブランドのテキスタイルやコラボレーション、広告、書籍、雑誌、WEB、商品など様々な媒体で活動中。
HP→https://natsukikurachi.wixsite.com/illustration/

【主な作品展】
2021  GALLERY X 物百×くらちなつきPOPUP(渋谷パルコ)
2020  中原淳一ミニトリビュート展(玉川高島屋)、物百×くらちなつきPOP UP(渋谷パルコ)、road (East Enders Coffee/愛知県)、Bloom巡回展(湘南蔦屋書店)、Bloom巡回展(京都岡崎蔦屋書店)、Bloom(代官山蔦屋書店)、Too sweet (CAFE DEUX POISSONS/恵比寿)
2019 トリドール社 企画展、「ボッシュと10名のイラストレーター展」(企画:箱庭)

【受賞歴】
2015年 玄光社イラストレーション「ザ・チョイス」
第194回いとう瞳審査 入選
第195回大塚いちお審査 準入選
第196回川名潤審査 準入選、
NEXT BREAK CREATORS 入選

「Good Reading」

「After the party」

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多くの女性たちを魅了してやまないファッション・イラストレーション。本来は、ファッションデザイナーが自作の服を制作する前にアイデアを紙に描いてスタッフや関係者と共有するためのものですが、そのスタイルをベースに、人物の背景を描き込むことで、独自の世界観を創り上げているのが、くらちなつきさん。油画の絵筆をiPadに代えて、最新ソフトを自在に使いこなして仕上げた作品には、優美さと洗練さが漂っています。ぜひお楽しみください。

インタビュアー 株式会社サンポスト 前田 敏之)

■初めて使った油絵具にしっくりきて。

――このWebインタビューではもはや定番となった感がありますが、まず子どもの頃のことから伺いたいと思います。愛知県生まれとのことですが、どちらですか?
〈くらち〉 小牧市出身です。
――小牧市といえば、小牧山城。織田信長が丹羽長秀に造らせた城ですね。後の安土城に先行する城として注目されています。小牧山城へは、よく遊びに行かれましたか?
〈くらち〉 多分学校の遠足などで行ったことがあるかと思います(あまり覚えていませんが)。田舎なのでそこまで遊べる場所もなく、一人っ子なので子どもの頃から家で絵をよく描いていました。あと実家では犬や猫を飼っていたので動物がとても好きでした。
――本格的に絵の世界に行こうと思われたのはいつ頃のことでしょう。
〈くらち〉 将来は美大に行きたいなと思い、中学1年生からデッサン教室に通い始めたのが最初に本格的に絵を描き始めた頃かなと思います。デッサンは与えられえた課題を描いていましたが、自由に描く絵は動物ばかり描いていたと思います(記憶が曖昧なのですが)。
――その頃、とくにこの作家の絵が好きだった、といったようなことはありますか。
〈くらち〉 あまり覚えていませんが、高校生にときに知ったスイスの画家、アルベール・アンカーが好きでした。今でも画集を家に飾っています。
――アンカーは、静物画や人物画を超リアルに描いていて素敵ですね。じゃがいもの皮を剥く少女や干し草の中で寝る少年など、まるで大判カメラで撮影した写真のようです。事物を正確に写し取ったような作品がお好きだったのでしょうか。
〈くらち〉 はい、写実的な絵が好きでした。特にアルベール・アンカーは家族や周りの人を描いていて素朴で優しい絵が多いところが好きです。
――武蔵野美術大学の油絵学科に進まれたのは、画家になりたいと思われたからでしょうか。
〈くらち〉 画家になりたいというより、まず絵画全般を勉強したいなと思いまして油絵学科に進みました。受験前に油絵具を初めて使ったとき、描いていて一番しっくりきたのです。
――大学に入学して、最初に描いたのはどんな絵ですか?
〈くらち〉 ぼんやりとしか覚えていないのですが、確か風景画みたいものを描いていたと思います。
――では、そのときはまだイラストレーターになりたいとは思わなかった?
〈くらち〉 はい。イラストレーターを意識したのは大学2年くらい。玄光社の雑誌「イラストレーション」の「ザ・チョイス」というコンペに出し始めた時期だと思います。絵画で将来仕事につなげるのは厳しいことはわかっていましたし、以前から興味のあったイラストをやっていきたいなという気持ちが大きくなっていたので、コンペできちんと評価を受けたらイラストの仕事もしていきたいなと思い勉強を始めました。
――イラストレーションの勉強は、絵画の勉強とは異なるものなのでしょうか。
〈くらち〉 そうですね。イラストは広告や挿絵など、依頼されてクライアントの希望に沿ったものを描きますが、油絵を描いていたときは自由に一枚の絵を完成させていたので全然違うものだったと思います。
――「ザ・チョイス」にはどんな感じの作品を出品されていたのでしょうか。
〈くらち〉 今とはテイストは違っていますが人物を描いて応募していました。しっかりファッションっぽいイラストを描き始めたのは大学卒業後かなと思います。
――コンペで評価を受けたらイラストの仕事をしてゆきたいと思っていたとのことですが、学生の頃から将来を見据えていたのですね。ふつう学生時代は割と遊んでしまうものではないかと思うのですが……。
〈くらち〉 早くひとり立ちしたいという焦りもありましたから……。
――なんとなくわかります。私も大学1年のとき、呑気に学生なんかやっていていいのだろうか、一刻も早く社会人になって働きたいと、一時は大学中退も考えました。モラトリアムがどうもしっくりこなかったんです。友人に諭されて卒業だけはしましたけれど(笑)。
〈くらち〉 私のいた油絵学科には、同じようにイラストレーターを目指す学生がいなかったり、デザイン系の学科の友達たちはデザイン会社などに就職することを目標にしていたので、私みたいに卒業してすぐフリーランスでやっていこうとしている人がいない不安や周囲からの反対もあり、かなり体調を崩して大変でした。
――周囲の反対というのは、大学を卒業したら就職しろと?
〈くらち〉そうですね。卒業してから2年間はアルバイトをしていましたが、それもいつになったらイラストのみで生活していけるかはわからなかったので、とにかく焦りと不安は大きかったです。
――一番最初に手がけたイラストの仕事はどのようなものでしたか?
〈くらち〉インディペンデント誌の挿絵でした。文章の内容に沿って風景画を描きました。
――絵だけで食べてゆくのはたいへんだと思いますが、貫き通せるのは素晴らしいことだと思います。
〈くらち〉ありがとうございます。これからも頑張っていきたいです。

■デジタルソフトを使い自由に描く。

――画材について教えてください。どんな紙に、どんな絵具で、どんな筆で描いているのでしょうか。
〈くらち〉今はほぼデジタルで描いています。iPadを使いソフトはprocreateです。展示をする際には画用紙やキャンバスにアクリル絵の具で描くこともありますが、今回の個展はジークレープリントの作品をメインにしました(手描きの作品も数点展示しています)。プリントの紙は少し凹凸があり、質感も綺麗な水彩画用紙を使用しています。
――作品を描かれる前に、スケッチなどはかなりするのでしょうか。
〈くらち〉あまりしないです。軽く下描きして着彩していきます。
――くらちさんの絵を初めて拝見したとき、アレックス・カッツを思い浮かべました。実はアレックス・カッツが好きなんです、見ていると軽やかな気分になれるので。再び、油絵を描こうと考えることはありますか?
〈くらち〉油絵は、今のところ再開予定はないですね。イラストを始めたタイミングで油絵の道具は全て手放してしまいました。
――なんと思い切りのいい(笑)。
〈くらち〉でも今使用しているデジタルのソフト(procreate)は本当に油絵具を使っているかのような表現もできるので、たまにご依頼を頂き、油絵のようなタッチのデジタル画を描くことはあります。描いていてとても楽しいですよ。

■目黒川沿いを散歩して気分転換。

――ところで会社勤めだと、土日は休みだったりしますが、フリーでお仕事をされていると、休みはいつ取るのでしょう。
〈くらち〉決まった休みはないですが、土日はクライアントが休みなので、必然的にお休みっぽくなりますね。
――いつも何時頃に起きて仕事を開始されるのでしょう。
〈くらち〉毎日全く決めていないです。好きな時に起きて、締切りに間に合うように描きたい時に仕事しています。きちんと睡眠を取りたいので、夜遅い時間は極力仕事しないようにしています。
――クライアントがいる仕事というのは、広告も雑誌も同様かと思いますけれど、なにかとストレスは溜まりますよね? 仕事はもちろんですが、それ以外でもストレスで落ち込んだりすることはありますか?
〈くらち〉ちょっとしたことですぐ落ち込みます(笑)。
――そんな時はどうしていますか?
〈くらち〉SNSを毎日使っていると疲れるのでデジタルデトックスしたり、美味しいものを食べて楽に過ごします。
――それはいいですね! 美味しいものを食べると元気になりますし。気分転換に散歩をしたりはされますか?
〈くらち〉そうですね。散歩とか買い物とか……。中目黒が好きで、目黒川沿いを散歩するのが好きです。中目黒はオシャレで美味しいお店がたくさんあるので、友達とご飯に行きやすいですし。
――ちなみにどんな料理がお好きですか。
〈くらち〉美味しければなんでも好きです(笑)。
――家で料理はしますか?
〈くらち〉します。和食をよく作ります。
――くらちさんの作品の中に登場するモデルの背景は、お洒落な部屋が多いですが、くらちさんの家はどんな感じなのですか。
〈くらち〉ノーコメントです(笑)。
――失礼しました。いろいろ知りたいと伺っているうちに、だんだんストーカーっぽくなってしまいました(笑)。でも、もう少し……。趣味はなんでしょう。
〈くらち〉映画やドラマ鑑賞が好きです。映画は多い時は1年で100本近く見ています。映画館にもいきますが、配信サービスを使って家で見ることが多いです。
――どんな種類の映画がお好きなのでしょう。お勧めの映画を3本上げてください。
〈くらち〉 どんなジャンルでも見ます。好きな映画は数えきれないくらいありますが、特に「スウィング・キッズ」(2018)、「ガタカ」(1997)、「あの頃ペニーレインと」(2000)が好きです。
――ずいぶん幅広いですね。年間100本くらいご覧になっていると、内容を忘れてしまったり、ごっちゃになったりしてしまうことはありませんか? 映画日記のようなものとか、映画の採点表など、メモ的なものはつけているのでしょうか。
〈くらち〉 忘れます(笑)。映画を記録できるアプリは使っていますが、本当にただの趣味なので忘れるのもしようがないかな、くらいの感じで見ています。
――もしこれから、これがやりたい、ということがあれば教えてください。
〈くらち〉 去年から少しずつですが陶芸作品も作り始めているので、もっとクオリティや作品の幅を上げていきたいです。
――陶芸といっても幅広いですが、どんな作品なのでしょう。
〈くらち〉電動ろくろを使わず手捻りで花瓶、食器など制作しています。花柄を絵付けした作品が多いです。
――こちらも将来楽しみです。最後に、作品展をご覧になった方へのメッセージをお願いします。
〈くらち〉 個展をご覧いただき誠にありがとうございました。どこかにあるようなないような、少し不思議な空間に人々がゆったりくつろいでいる様子を描いたので、ゆっくりコーヒーを飲みながら作品をご覧いただけたら嬉しいです。

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