珈琲貴族展「Delight」
1月24日(金)~2月24日(月)

【第32回】珈琲貴族展「Delight」

原画家・イラストレーター。同人サークル『ロイヤルマウンテン』主宰。ゲームソフト制作会社でグラフィッカーなどを経て2007年にPCゲームで原画デビュー。 キャラクター原案・CG監修、挿画、版画、各種グッズやパッケージイラストなど幅広く活動。

CLIENT WORK】
2015/12   日本郵便「郵便切手」イラスト
2015/03   珈琲工房まつざわ「ドリップコーヒー」パッケージイラスト

ILLUSTRATION WORK】
2018/05KADOKAWA「君死にたもう流星群」(シリーズ)挿画
2015/11aya Sueki「Second Sight」ジャケットイラスト
2015/10折倉俊則「Therapy」ジャケットイラスト

BOOK】
2021/06メディエイション/廣済堂出版「Blue Mountain ~青山澄香 Memography 2009-2021~」
2019/12メディエイション/廣済堂出版「BARiSTA 珈琲貴族 ARTWORKS」
2018/04メディエイション/廣済堂出版「Acidity 珈琲貴族 Rough & Sketch」
2018/02メディエイション/廣済堂出版「Code BLACK 珈琲貴族 Rough & Sketch」

代表作】
≪挿絵≫
・『美少女とは、斬る事と見つけたり』(電撃文庫/著:入間人間)
・『君死にたもう流星群』シリーズ(MF文庫/J著:松山剛)
≪キャラ原案・CG監修≫
・PCゲーム『マーブル★ブルマ』(Noesis)
・PCゲーム『殻ノ少女』(innocent grey)
・PCゲーム『雨恋』(Noesis)
・ソーシャルゲーム『天下百剣』(小夜左文字、千子村正/イラスト担当)(KADOKAWA/DeNA)
・温泉むすめ『磐梯熱海 萩』(エンバウンド)

night-park

クールインテリギャル

夏のご馳走

【見どころ】
しなやかな身体に生き生きとした表情の美少女を描いて人気のイラストレーター、珈琲貴族さん。見ていると、逆に絵の中の少女に見つめられているようで、思わずドキリとすることも。珈琲貴族という名前からして、もちろん珈琲が好きで、メインの趣味は珈琲屋巡りとのこと。パソコンを駆使して描かれる愛に溢れたデジタルアートの世界をぜひお愉しみください。

インタビュアー 株式会社サンポスト 前田 敏之)

■ビデオゲームの「EVE burst error」に感銘を。

――珈琲貴族というお名前の由来を教えてください。
〈珈琲貴族〉これは勤めていたPCゲーム会社の同僚につけていただいた渾名でして……。会社に常備してあったコーヒーが正直美味しくなくて、自分で買ったコーヒー豆を持ち込み、会社のマシンを使って好き勝手にやっていたのを同僚が見て、ネーミングしてくれました。いつの間にかそれが定着した格好です。
――コーヒーはどの銘柄はどれがお好みですか。
〈珈琲貴族〉何年かごとに入れ替わるのですが、ここ数年はニカラグアのパカマラ種です。
――どんな味なのでしょう。
〈珈琲貴族〉非常に大粒の豆なのですが、繊細な味をもっていて、甘さのある滑らかな口あたりが特徴かと思います。
――コーヒーはおいくつのときから飲まれていますか?
〈珈琲貴族〉実家で、親がインスタントコーヒーを飲んでいて、それを飲むようになったのが小学2年生とかなり早い時期でしたね。豆を挽いて淹れるようになったのは22歳頃からです。
――ご実家はどちらでしょうか。
〈珈琲貴族〉千葉県船橋市です。最寄りの駅は京成電鉄の「海神駅」で、成人するくらいまで住んでいました。
――私も地元が船橋だったので、そのあたりは土地勘があるんです。東京から近いのに、結構自然が残っていました。海も近いと思いますが、子どもの頃はよく外で遊ばれましたか?
〈珈琲貴族〉いや、インドア派でゲームばかりやっていましたね(笑)。友達がよく家に遊びに来るという環境でした。
――いいですね、友達とゲーム。その頃はどんなゲームが流行っていたのでしょう。
〈珈琲貴族〉小学生の頃はファミコンだと“くにおくんのドッジボール”とか。スーパーファミコンで、想像もつかないくらいの時間対戦していたのはマリオカートでしたね。
――ちなみに学校時代に好きだった学科、嫌いだった学科を教えてください。
〈珈琲貴族〉小学校の頃は家庭科以外の全部が嫌で、中学生になって理科と技術が好きになりました。算数~数学はずっと苦手です。
――家庭科が好きというのは、料理をするのがお好きなのでしょうか。
〈珈琲貴族〉家系が調理師しかいないので、遺伝子的に料理づくりを受け継いでいるのかもしれませんね。
――料理づくりの才能、羨ましいです。ところで、印象的だった美術体験はありますか? 私が子どもの頃、上野の美術館でピカソ展が開催され、学校の課外授業かなにかで見に行ったことがあります。現在のように入場制限などがなくて、入れるだけ入れちゃうものだから、館内は満員電車の中にいるみたいで、絵を見に行ったのに額縁の端しか見られなかった、なんて思い出があります。
〈珈琲貴族〉誰それの絵を見て影響を受けたということはないのですが、テレビで「裸の大将」をやっていたのを見て、山下清さんの作品は温かみがあってすごいな、と子どもながらに思っていました。
――さっき家庭科のお話が出ましたが、学校の美術のほうはどうだったのでしょうか。
〈珈琲貴族〉好きな科目だったのですが、それほど器用でもなかったので人並みにやるのが精いっぱいの感じでした。それよりビデオゲームの「EVE burst error」に感銘を受けましたね。
――どういったところに感銘を?
〈珈琲貴族〉ストーリーテラーから演出、音、イラストすべてのバランスと、それまで体験したことがなかったエンディング展開で完全に放心状態になってしまいまして、ここから自分の絵を描き始める動機が生まれた……といまにして思っています。
――感銘を受けてすぐに同様の絵が描けるようになったわけではないと思いますが、どのような段階を踏んで、いまの作風を確立されたのでしょうか。
〈珈琲貴族〉高校卒業後にゲームソフト制作会社にグラフィッカーとして就職しました。
――グラフィッカーとはどんな仕事ですか?
〈珈琲貴族〉原画家さんが描いた線画を、当時ではスキャニングなどをして、デジタルに整えて彩色完成まで仕上げる仕事でした。僕は背景の彩色に特化していると当時の上司が見抜いてくださって、ゲームの背景をメインで制作していました。
――いきなり仕事ができるということは、入社前からパソコンのスキルはかなり高かったのですね。
〈珈琲貴族〉いえ、パソコンのスキルは皆無でした(笑)。いまもかろうじて基本的な機能だけを使っている状態です。PCゲーム業界での先輩(師匠)がそのあたり強くて、いろいろ教えていただきました。生涯頭が上がらないです。
――最初に描いたデジタルアートはどのような絵でしたか?
〈珈琲貴族〉当時は模写を多くしていたのですが、自分の作品としてデジタルで描いた初のものは全然記憶になく……たぶん水着の女の子とかだったと思います。
――現在、たとえば依頼された仕事ではなく、ご自身の作品を発表される場合は、どのような形を取っているのでしょうか。
〈珈琲貴族〉2008年冬のコミックマーケットの際に、同人サークル「ロイヤルマウンテン」を設立しまして、参加しました。作家は僕ひとりで、イベントのときに友人知人が助けてくれます。

■PCゲームを自分の原画で作りたい。

――小説、映画、音楽、演劇などの、絵画以外の芸術分野で、お好きなものはなんでしょうか。影響を受けた作家(アーティスト)はいらっしゃいますか。
〈珈琲貴族〉音楽になるのですが、ゲームやアニメのサウンドトラックをよく聴いていまして、「EVE burst error」の音楽はかなりの頻度で聴いていました。いつか自分もこんな音楽とシナリオのゲームの絵が描きたいという思いは強くありました。
――絵だけで、つまり単体として完結しているのではなく、珈琲貴族さんの中には、常にストーリー(シナリオ)と音楽がセットになってあるのですね。
〈珈琲貴族〉はい、PCゲームを自分の原画イラストで作りたいという大きな夢がありましたので。
――制作手順をさしつかえない範囲で詳しく教えてください。最初に紙にスケッチをされたりすることもあるのでしょうか。
〈珈琲貴族〉基本的にはすべてデジタルでして、液晶タブレットを使っています。大ラフを描いて、その後に整えたラフ→線画→彩色→調整等をして完成になります。
――仕事の道具で、欠かせないものはなんでしょうか。パソコンのこのソフトはないと困る、といったようなものはありますか。
〈珈琲貴族〉PCのツールですが「Photoshop」と「sai2」です。
――毎日、特に気をつけていることはなんでしょう。このルーティンワークは欠かせない、といったような。たとえば毎朝、珈琲豆を挽くことから始まる、とか、ジョギングして健康管理に気をつけているとか。
〈珈琲貴族〉健康に気を遣っているなどとは到底言えないのですけど、お風呂の時間を重視しています。肩こりにもたぶん効いているのではないかと思っていますが、美容室に行くと信じられないくらい凝っていると言われます。
――ずっとPCに向かっているからでしょうね。ところで、制作の時間は決まっていらっしゃるのでしょうか。
〈珈琲貴族〉規則正しい生活とはかけ離れておりまして、朝方くらいまで仕事をして寝て、昼頃に起きる生活をしております……なので珈琲を飲むのは夕方~夜中ですね。作業より先に夕飯を作るという日もよくあります。
――完全に夜型なんですね。
〈珈琲貴族〉夜型です。昼間は本当に仕事の進みが悪くて……よくないとは思っているのですが中々変えられない部分でして。
――制作中は音楽をかけたりしていますか?
〈珈琲貴族〉いろいろ聴きますが、比較的多いのは何かのサウンドトラックと、YouTubeでレトロゲームなどのゲーム実況配信をラジオ代わりに流しております。

■将来は自宅に半露天風呂とBBQスペースを!

――話は変わりますが、趣味はなんでしょう。
〈珈琲貴族〉メインは珈琲屋さん巡りでしたが、最近は日帰り温泉ドライブがセットになりました。あとはオーディオが好きです。イヤホンとヘッドホンを合わせると20個くらいは家にあると思います。
――そんなにたくさん! ヘッドホンによってかなり音の再生度合いが違うのでしょうか。
〈珈琲貴族〉全然違いますね、そこまで音質に関心がない友人に聞かせたら数秒で全然違う!と言ってきました。僕個人的にはヘッドホンは音質よりも装着感を重視しています。
――では、アンプなども凝っているのではないですか? 先日、別の仕事で真空管アンプの取材をしましたが、音のまろやかさなど、こだわる方はとことんこだわりますね。
〈珈琲貴族〉これがまさにオーディオ沼なんですけど、アンプもこだわりがあって「LUXMAN」というメーカーさんの製品を長年愛用しています。
――音楽を聴きながら珈琲を味わう。なんだかコマーシャルのワンシーンのようです。家で過ごすのもいいですが、珈琲屋さん巡りなども楽しそうです。ご自身で喫茶店を始められたいと思ったことはありますか?
〈珈琲貴族〉こだわりが強すぎて商売にならないと自覚していて、多分無理だろうな~と思っています。
――将来、これをやってみたいというのはありますか。お仕事でもプライベートでも。たとえばどこそこへ行ってこれを食べたい、とか、バンジージャンプに挑戦したい、でもいいです。
〈珈琲貴族〉自宅の敷地内に、お風呂専用の小屋を半露天式で作り、そこにさらに石窯付きのBBQスペースを設けるのが夢です。
――いいですね、自宅に露天風呂! さらに石窯付きのBBQスペースがあったら、友達がたくさん押しかけてきて、どんちゃん騒ぎになりそうです(笑)。
〈珈琲貴族〉虫が苦手なので半露天で対策をしたのをいつか実行したいなと、あと自分はあまりワイワイしたホームパーティは苦手なので、やるとしたらサークル仲間だけで穏やかにBBQで作り手に徹しているかと思います。
――珈琲貴族さんに憧れて同様な仕事をしたいと考える若い方もいるかと思いますが、向いている資質、向いてない資質は? たとえば、絵は上手でも、こういう人は止めたほうがいいといったことはありますか。
〈珈琲貴族〉これはやってみないとわからないので、資質ということに関してはお答えしにくいのですが、基本的に長く続けるという面でいうと、「好きなものがコロコロ変わる」「一時的な流行に敏感すぎる」という方は難しいかもしれません。
――目移りする性格は向いていないのですね。仕事や好きなことで大成するには、ずっと続けられる力も必要ですよね。
〈珈琲貴族〉目移りしていると、身体が追い付かなくなるかも知れません。
――なるほど、そうですね。最後に365カフェで作品をご覧になった方へ、メッセージをお願いします。
〈珈琲貴族〉カフェでのこういった展開は初めてでして、ちょっと緊張しています。自分のペンネームからは念願が叶った思いです。ゆっくりコーヒータイムを満喫しながら作品もご覧いただけたら幸いです。
の旅路を見守っていただけたら幸いです。

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企画:編集プロダクション 株式会社サンポスト