Face to Face

第一回作品展
Face to Face
宮嶋結香作品展

動物をモチーフにした絵画で知られる新進気鋭のアーティスト、宮嶋結香さんの作品を展示しました。
※宮嶋結香さんの作品展は既に終了しております。
※作品は引き続きWEBから購入可能です。

365cafe art gallery 特別インタビュー

【第1回】 宮嶋結香さん

画家。福島県出身。女子美術大学芸術学部美術学科卒業。
【近年の個展】
2021年 Galerie VIVANT(東京)、ヒロ画廊(和歌山)
2020年 諄子美術館(岩手)、ondo gallery(東京)、Bar十月(新宿ゴールデン街)
2019年 柳沢画廊(埼玉)、 JINEN GALLERY(東京)
【主な受賞歴】
2018年 利根山光人記念大賞展 準大賞
2016年 HB Gallery File Competition vol.27 永井裕明賞
2015年 HB Gallery File Competition vol.26 藤枝リュウジ特別賞
【コレクション】
女子美術大学美術館諄子美術館鹿沼市立川上澄生美術館

東京・渋谷の喧騒から逃れてゆっくりお茶を楽しみたい。そんな方のための365cafe。そこの壁面をアートギャラリーにしたら……という企画が立ち上がったとき、真っ先に思い浮かべたのが宮嶋結香さんの作品でした。優しくって、生きる喜びに溢れていて、観る人を静かに勇気づけてくれる、そんな愛情溢れる作品だと思います。芸術に言葉は要らないという人もいますが、作品を観るときの一助になればと思い、インタビューを行いました。

(by 株式会社サンポスト 前田 敏之)

屋根裏部屋はお絵描き用の自由空間

—–福島県生まれとのことですが、どんなところでしたか。近所にイノシシが出たり、シカが顔を覗かせて…とか?
<宮嶋> 私の出身はいわき市で、その中でも町に近い方だったので、イノシシなどの野生動物は見たことないです。そんなに山奥というわけではないです(笑)。
—–失礼しました。子ども時代はなにをして遊びましたか? いちばん印象に残っていることはなんでしょう?
<宮嶋> 子どものころは外で遊ぶのが好きでしたね。虫を集めたりしていました。絵を描くことも好きで、事情があって引っ越してしまいましたが、最初に住んでいた家は、壁じゅうにお絵描きできる屋根裏部屋を親が作ってくれました。
—–普通は「壁に落書きなんかしちゃダメ」って怒られそうです。アーティストになる下地がその頃から整えられていたのですね。
<宮嶋> 壁もそうですが、裏が白いチラシを見つけたら絵を描いていましたね。
—–ちなみに学校の成績で一番良かった教科はなんでしょう?
<宮嶋> 体育と図工が同じくらい。どちらも好きでした。
—–動物はなにか飼っていましたか?
<宮嶋> 犬を飼っていました。いまはなにも飼っていませんね。
—–もし広大な敷地に家を建てたとして、飼ってみたい動物は?
<宮嶋>  広大な敷地は全然関係なくなりますが、インコを飼ってみたいです。広大な敷地なら飼わずに野生のまま勝手にしてもらいます(笑)。
—–なるほど。勝手に、というのがいいですね。動物園にはよく行きますか?
<宮嶋> たまに…ですね。
—–いちばん好きな動物は?
<宮嶋> 好きというか、よく描かせてもらうのはシロクマや羊、象、馬などです。
—–それでは、嫌いな動物は?
<宮嶋> 多分いないです。

ロベール・クートラスに惹かれて

—–女子美術大学に進学した理由は?
<宮嶋> 3年生から編入で入ったのですが、版画をやりたかったので先生の勧めで入りました。
—–好きなアーティストはいますか?
<宮嶋>  たくさんいてその時によって変わりますが、自分の作品が平面だからかペインターが多い気がします。ロベール・クートラスダニエル・ジョンストンなど、我が道をいく感じの方も好きです。
—–ロベール・クートラスの、なんというか素朴というのとも違う味わい、いいですね。ミュージシャンでアーティストのダニエル・ジョンストンはまたぜんぜん違って楽しさに溢れています。どんなところに惹かれたのでしょう。
<宮嶋> クートラスもダニエル・ジョンストンも純粋が故の狂気みたいなものをなんとなく感じて、それが好きです。その他いいなあと思う作品は、どれも時間を超越するような、空間を支配してしまうようなものばかりで、そういった作品を観るとすごい、と思います。

お米の袋は真四角にならないからいい!

—–それでは画法について伺います。紙やキャンバスの代わりに、お米の袋を使っているとのこと。なぜ米袋を?
<宮嶋> もともとポスターの裏など、使用済みで捨ててしまうような紙を使いはじめたのがきっかけです。版画をやっていたので、なにに刷るのか、媒体を探すのが面白かったのでその流れなのかなと思います。学生の頃は自分で紙を漉いたりもしました。いろいろ試して、いまは色合いや風合い、丈夫さが良くて米袋を使うことが多くなりました。破いて描くので、真四角にはならないところも気に入っています。
—–お米の袋を集めるために、たくさんご飯を食べないといけませんね。
<宮嶋> いえ、私がお米の袋を使っていることを知っている友人知人、お米屋さんやそのお知り合いの方が、捨てずに取っておいてくれたりします。自分で、ネットで買ったりもします。もちろんご飯は好きです。美味しければなんでも好きです(笑)。
—–作品制作で大切にしていることはなんでしょうか。
<宮嶋> 自分基準ですが、ただ描いただけの塗り絵のようにはしないことでしょうか。
—–制作の手順として、真っ先に行うのは、アイデアスケッチですか?
<宮嶋> まず描く素材からのインスピレーションを掴みます。
—–作品が売れて、手元から離れてゆくのは寂しくないですか?
<宮嶋> 寂しいと思うこともありますが、売れることは嬉しいです。データでは必ず残すようにしています。

「世界に含まれる自分」と「記憶」を表現

—–動物モチーフの作品が多いですが、宮嶋さんにとって動物とはどのような存在なのでしょうか。
<宮嶋> 作品に描くのは、動物そのものというより動物を通しての表現で、以前に「動物を描いているけれど、動物を描いている訳ではないのだよね」と言っていただいたことがあって、「そうだ」と思ったことがあります。もともとはアニミズムをベースに、自然に生命が宿っているようなものや、人と動物が混ざったような想像の生き物を描いていましたが、いまは同じ世界に存在している動物や風景を描くことで「世界に含まれる自分」と「記憶」のようなものを表現したいと思っています。
—–それでは最後の質問です。山で遭難して、手元にバナナが1本。ふと見るとおなかを空かせた子ザルがいました。さて、そのバナナはどうしますか?
<宮嶋> 経験がないので、その時の自分の心境はどうなるか分かりませんが、瀕死状態とかでなければ子ザルはコミュニティがありそうなので、バナナは自分が食べるのではないでしょうか。
—–そうか、論理的ですね。心優しい宮嶋さんは、きっと子ザルにバナナをあげるかと思ったのですが、あげないのですね(笑)。
<宮嶋> あげないとは言い切れないですが、状況次第です(笑)。
—–最後にこのインタビューをご覧いただいた方にひとことお願いします。
<宮嶋> このインタビューまでアクセスしていただけたということは、展示してある作品に少しでも興味を持っていただけたのかなと思えて、とても嬉しいです。これからも焦らず休まずで、マイペースにがんばりたいです。また機会がありましたら作品を観ていただけましたら幸いです。本当にありがとうございました。

企画:編集プロダクション 株式会社サンポスト